2016.12.14

縛れ!削れ! ~初めてのゲームを完成させるために~

この記事は Board Game Design Advent Calender 2016 の14日目の記事です。

●はじめに
皆さまこんにちは、喫茶 兎紳士 代表の弄刻と申します。普段はデジタルゲームの開発会社のプランナーをしつつ、趣味でボドゲを作ったりしています。アドベントカレンダー初参加の若輩ですがよろしくお願いします。

さて、僕は昨年秋に『Majoketto』、今年秋に『冒険者カンパニー』と2作のカードゲームをゲームマーケットに出しました。
実はボードゲーム制作自体はそれよりも結構前から―それこそゲームもどきみたいなものは子供のころから―やっていたのですが、結局『Majoketto』を出すまではちゃんと完成させられたものはありませんでした。それはなぜか。おそらく自由すぎたからなのです。

同人ゲーム制作はやりたいからやるもので、強制はされません。でも強制されず自由だからこそ完成させるのが難しい側面があります。そこで「こうしてなんとか完成させられた」という経験談なぞ、記事にしてみようかと思います。あくまで考え方の1つでしかないですが、駆け出し製作者さんの助けになれば幸いです。

●さあ縛れ!
ボドゲに限らず、何かを作る上で大事なものとはなんでしょうか?
僕は「完成形を最初に考えろ!」「〆切を決めろ!」の2つだと思います。あとはちょっとした覚悟とかあればベストです。

まず「完成形」ですが、これはどういう形態で作るかも含まれています。例えば、印刷するのか、自宅で手作りするのか…「1個作るのに1万円かかる」とかなったら一般庶民には厳しい話です。現実は非常なり、いくら同人が自由でも物理的な制約からは逃れられないのです。
なので、はじめにどれくらいのコンポーネントを用意できるのかを決めてしまいましょう。コンポーネントに縛りを入れておくだけで、完成に近づいてから量産できないとかで失敗することはかなり減ります。

次に「〆切を決めろ」ですが、こちらはよく聞く話なので説明不要かもしれないですね。
同人での制作は作業しなくても死にはしないので〆切を決めないとズルズル伸びます。「鉄は熱いうちに打て」とあるようにアイディアは時間たつと面白いかわからなくなったり飽きたりするので、作品を完成させたいなら現実的なラインで制作期間を決めたほうがいいです。
ちなみに、ゲムマ申し込みと印刷発注のダブルコンボはかなり効きます。8月下旬の小学生の気持ちが味わえます。

この2つで縛りを入れることで、指針やスケジュールのほとんどが固まるでしょう。後はそれに沿って作っていけばいいのです。それでも心配なら友人とチーム制作にしてみるといいですね。進捗出せないとさらにプレッシャーがかかります。(ただし押しつぶされない程度にしましょう!)

●さて、何を削ろうか
ざっくりと縛りを入れた後は作りたいゲームのことを思い出しましょう。
 ・あなたのゲームはさっき決めたコンポーネントに収まりましたか?
 ・〆切には間に合いそうですか?
どちらも大丈夫だった人、おめでとうございます!実際に作って調整に入ってください。
オーバーした人、大丈夫よくあることです。ここからがデザインの工夫のしどころなのであきらめずに行きましょう。

オーバーする理由はだいたい下のどれかだと思います。
 ①ルール・メカニクスが多い。 …仕組みが増えれば必要なものが増えます。
 ②必要以上に物を用意している。 …プレイの長さが見えてないかもしれません。
 ③そもそも規模が全然合わない。 …アイディアか予算を見直せ!
どんなゲームが好きかによりますが、複雑なゲームが好きな人ほど①に陥りやすいです。
そうなってしまった時はどうするか…ルールやメカニクスをガンガン削りましょう!

アイディアを思いついたとき「ここが面白い」とか「こういうことがやりたい」という軸があるはずです。それを表現するための根っこのルールやメカニクス以外は無くてもどうにかなることがあります。

『Majoketto』の場合を例にとるとこうなります。

<ゲームの軸>
 ・特殊効果のあるカードを魔法として撃ち合いジャンケンをする。
 ・役(カードのセット)をそろえる行為をジャンケンの読み合いに影響させる。
 ・「キャスターカード」の「技」で自分がそろえる役に変化や対称性を与える。


<削ったもの>
 ・「生命力」のメカニクス
→HPを削って勝敗を決めるだけにしては軸から少し遠いし、ライフカウンターを用意するコストがかかる。
削った結果:ジャンケンや役をそろえるのを勝利に直結させることで、生命力にかかわる魔法カードが不要になった。

 ・「キャスターカード」を2枚選ぶルール
→1枚でも十分な非対称性が得られる。キャスター自体を削ると味気なかった。
削った結果:キャスターカードの枚数が減り、1枚あたりの密度が濃くなった。

 ・手札の上限枚数がキャスターカードごとに違うメカニクス
→単純に忘れやすかったので削った。
削った結果:そこまで大きく変化はなかったが、ルールテキストが減った。


こんな感じで無くてもゲームが成り立つルールを削っていくと、調整しなきゃいけない要素が減り、おまけにコンポーネントも減ってだんだんスッキリしてきます。削れるルールがなくなってきたなぁ…となってきたら問題は②の方にシフトしてきた証なので、その時点で調整に入っちゃいましょう。

●調整で見えてくるもの、削れるもの
調整段階は削ったり盛ったりの繰り返しです。ブラッシュアップではいかに「余計なもの」を見つけられるかがキモになります。例えば以下のようなものは遊んでいるうちに見つけられるでしょう。
 ・普通にプレイしていたらほとんど選択されないもの
 ・ゲームの展開を動かすパワーがないもの
 ・何が起こるか予測しにくいもの
 ・ゲームの軸と関係がないもの
このようなものを見つけたら、一度取り除いた状態で遊んでみましょう。意外となんとかなります。もし削ったことによってゲームバランスが変わってしまったのなら、それは必要なものだったとして戻せばいいのです。

ちなみにコンポーネントの縛りはこのころが一番辛くなってきます。「あれが必要なのに入らない!」とか日常茶飯事です。そういう時は別の手段を考えるか、思い切って縛りを緩めてしまってもいいと思います。
ゲーム作るとき「面白いものを作りたい」という気持ちが根っこにあるはずです。その実現ために入れた縛りで面白くなくなってしまっては本末転倒です。ちなみに、僕の場合追加予算投入で手作りのチップ入れたりしましたが、結果としてはそれでよかったと思っています。

●まとめ
というわけで作品を完成させるための心得的なものを最後にまとめましょう。

 1.まずは物理的な縛りをかけて現実的な目標にする。
 2.ゲームの軸をしっかりと定める。
 3.軸以外の要素は思い切って削ってみる。
 4.わかりにくいのも削って試してみる。
 5.縛るも削るも無理はしない。

多少の慣れは必要ですが、この手順でやれば大体のことはこなせます。ちなみに、この記事もそれに従って、〆切設定しーの内容削りーのを繰り返してできています。
まだまだいろいろ書きたい事はたくさんあるのですが、記事タイトルに従いこれにて本記事の締めとさせていただきます。
長文、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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